誘惑の延長線上、君を囲う。
ベッドに押し倒され、お互いに目と目が合うと自然に唇同士を重ねる。私は首筋の後ろに腕を回し、もっと、とせがむように激しく重ねる。

部屋中に舌を絡め合うリップ音が響く。

「どうしたの……?今日は随分と積極的だな」

「……何となく。理由を付けるとしたら、日本酒のせいじゃない?」

唇を離した時、日下部君が私を見て嘲笑う。

「仕返ししてやるつもりだったけど、佐藤を見てたら余裕がなくなった」

妖艶な表情を浮かべた日下部君は私の顔を覗き込み、この後の行為を確認する。私は照れくささを隠す為に目線を反らして、そっぽを向く。

「いつだって、素直じゃないねぇ……、琴葉ちゃんは……」

不意に呼ばれた名前呼びに胸がドキッとした。突然の事で心臓に悪い。

「な、名前……!」

「うん。もう良いでしょ?佐藤じゃなくても。こと、は……」

今度は呼び捨て。舞い上がる程に嬉しいけれど、恋人じゃないから悲しくもある。

「琴葉、俺の事も名前で呼んでみて?」

「や、やだ。……今更、恥ず、かし……」

「じゃあ、素直に呼ぶまでは耐久戦ね」

私の顔をずっと眺めながら、髪を撫でている。ドキン、ドキン。日下部君の視線を痛い程に浴びて、胸が苦しい程に高鳴り、息が出来なくなりそう。
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