嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「じゃあ、もう私とは……」

「つき。」

はやてが、私の手を握った。

「俺は、つきが戻ってきたのなら、つきと結婚したい。」

「えっ……」

真剣な眼差し。

はやての目に、吸い込まれそう。

「つきはどうするの?」

「話し合う。」

「話し合うって……」

「俺は、つきと結婚したいと、ときに伝える。」


あんなに泣いていたときの姿が、目に浮かぶ。

「一度、ときと約束したんでしょ。」

「その前に、つきと約束していた。」

私は、顔を背けた。

「つき。」

はやてが、私に迫ってきた。

「つきは、もう俺に心がないのか。」

その瞬間、るか様が頭に浮かんだ。
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