嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
お母様は、不思議そうな表情をしている。

そうだよね。

湖の底に屋敷があるだなんて、誰も信じない。


「でも、私ははやての事を想っていた。それで水神様は、私の気持ちが向くまで、待っていてくれたの。」

「信じられない……」

「そうよね。だけど、実際に干ばつは直らなかった。ね、つじつまが合うでしょ。」

お母様は、下を向いて悩んでいる。

「その話が本当だったら、どうしてときではダメなの?もしかしたらときだって、水神様の妻に迎えられるかもしれないじゃない。」

「私、水神様と話をしたの。ときは、妻にしないって。私だから妻にしたんだって、言ってくれたわ。」

お母様は、難しい顔をしている。


「私は、難しい話は分からないけれど、でも、ときではダメなのね。」

「そうなの、お母様。」

「でも、一度決まった事を覆すのは、容易な事ではないわよ。」

「うん。」


何としてでも、ときが生贄になるのは、阻止しないと。

「ときが、生贄になるのは、明日ね。」

「そうね。」

私は、明日の生贄の儀式に、賭ける事にした。
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