嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
第15話 生贄の条件
それから毎日のように、生贄の相談が、我が家で行われた。

「やっぱりときだ。」

「でも、つきがときでは駄目だって、言ってる。」

「つきは、一度水神様に会っている。」

「本当か?」

「嘘は言わない女だ。他の生贄を立てるしかない。」


いろんな事を話しては、あーでもこーでもないと、毎日のように話し合いが行われた。

「でも、つきの話では、水神様は一度つきを嫁にしたって言う。今回もつきでは駄目なのか。」

村人は、お父様をじーっと見た。

「つきは、返されている。駄目だったって事だ。」

でもお父様は、一度帰って来た私を、もう放したくないようで。

何度も私をもう一度生贄に、という話には、断固断っていた。


「つきは、どうして返されたの?」

生贄の難を逃れたときは、ふと私にこんな事を聞いてきた。

「私の言う事、信じてくれる?」

「もちろん。」

ときは、私の隣に座った。

「私は、一度水神様に受け入れられて、湖の底の屋敷に招き入れられたの。」

「湖の底の屋敷?」
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