嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
第17話 側にいる
お父様は、じっと私を見て、お母様はおろおろしていた。

「なぜ、そんなに生贄になりたがる。」

「水神様の思し召しだからよ。」

「いや、昨夜の夢枕に立つ前から、つきは生贄になりたがっていた。」

お父様は、鋭い。

さすがは、この一帯を治める領主。

本当の事を言って、信じて貰えるかどうか。


「実は、ここだけの話なんだけど、水神様と愛し合っているの。」

「まあ。」

お母様は、密かに出た恋愛話に、ワクワクしている。

「私は、湖のお社に毎日通っているわ。そこで、水神様と会っているの。」

するとお父様は、イライラしだした。

「お父様?」

「何なんだ。その水神様と言うのは。娘をたぶらかしおって。」


そうだよね。

急に出てきたもんね。水神様。


「決してそんな事はないの。私も水神様を好きなの。」

「だったらなぜ、つきを受け入れなかった?気に入らなかったからだろ。」

「それは……」

話せば長い話になるのよ、お父様。
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