嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
翌日、お父様は集まった村人に、私が生贄になる事を発表した。

「ええ?つきを生贄に?大丈夫なのですか?」

村人は、すごく驚いた。

一番に反対していたお父様が、賛成に回ったんだものね。


「わしと妻の夢枕に、水神様が立たれた。」

「水神様が?」

「つきを……嫁に貰いたいと、直々の仰せだった。水神様からの思し召しなら、仕方ない。」

そしてお父様は、ムスッとした。

それを見て、私とお母様は陰で笑った。


「だとで、せっかく帰って来たつきを、もう一度生贄にするって事は……二度と会えなくなる。」

「言うな。それは、分かっている。」

それを聞いて、私も寂しくなった。

普通に嫁げば、何かあれば顔を見れるものね。

でもるか様のところへ行ったら、二度と戻って来れなくなる。

生贄になる日が、私達親子の、今生の別れになるのだ。


「生贄の儀式は、明日行う。」

「明日か……」

皆、がっかりとしている中で、私だけがドキドキしていた。

明日になれば、るか様と会える。
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