嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「まずいな。このまま一緒にいると、そなたを抱いてしまいそうだ。」

「抱いて下さいませ。」

どうせなら、今直ぐるか様のモノになりたい。

「無茶を言うな。明日、そなたを迎えられるのだ。今は我慢しておく。」

「ええっ?」

微笑むるか様に、私も微笑まずにはいられなかった。

「今日は、ゆっくり休むがいい。」

「はい。」

そしてるか様は、スーッと消えた。


私はその夜、ドキドキして眠れなかった。

明日、クマができていたらどうしよう。

そんな事を考えながら寝付いたのは、朝方だった。


翌朝、お母様自ら、花嫁衣裳を着せてくれた。

「これが本当の、嫁入りになるのね。」

「そうですね。」

前の時は、何も考えられずに、恐怖ばかりが心を支配していた。

私は死ぬんだ。

そればかりだった。

でも、今は違う。

るか様が、あの湖の底で待っている。
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