嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「ああ、そうだな。」

そう言うとお父様は、また泣いた。

歳のせいなのか、それとも娘の嫁入りだからなのか、お父様は直ぐ泣く。

「お父様、大丈夫よ。私。」

「つき……ううっ……」

お父様は遂に、泣き崩れてしまった。

「村の為に、許してくれ。」

そう言って、額を土に着ける程に、頭を下げたお父様。

最後は、私が死ぬと思っているのね。


「お父様。私、感謝しているのよ。」

「えっ?」

「あのね。湖の底には、水神様の屋敷があって、そこで私は暮らすの。」

「つき……」

「寂しくなったらお社に来て。屋敷にも神殿があって、お社の外を眺める事ができるのよ。」

「おまえと言う娘は……」

お父様は、私が夢を見ているのだと、思うのでしょう。

でもね、本当の事なのよ。


「殿様。そろそろ、儀式を。」

「分かっている。」

結婚の詔を、神主様があげる。
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