嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
私の今の態度は、るか様から見たら、我が侭なんだろうか。


ううん。

こんな場所で、永遠の命を過ごすよりも、短い命でいい。

元の世界で、生きていきたい。


「お願いです。元の世界に戻して下さい。」

「ならんと言ったら、ならん。」

るか様は、そう言ってそっぽを向いたきり、私の顔を見る事はなかった。


部屋に戻って来た私に、ほのさんは笑顔で、話しかけてくれた。

「ここで長い時間過ごすのも、これはこれで、楽しいものですよ。」

でもそれは、ほのさんがるか様を好きだからね。

「ほのさんだから、そう思えるのよ。」

「そうかしら。」

「そうよ。私は、ここに用事がないもの。何もないなら、いたって仕方ないじゃない。」


いつの間にか、私の顔からは、笑顔が無くなっていた。

そして、それからしばらくして、鯛さんから尋常ならぬ村の様子を教えて貰った。

「また日照りが起こっているらしい。」

「この前、雨は降ったじゃない。」

「雨じゃない。洪水になった。」
< 96 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop