愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様

 俺は冷めたグラタンとスプーンを片手で持つと、もう片方の手で床にあった阿古羅のブレザーを持った。
「おっ。気が利くじゃん。じゃ、ベンチに行くか」
 阿古羅が空になったコンビニの袋をゴミ箱に捨ててから、鞄を肩に掛けて、楽しそうに言う。

「うん」
 俺は首を上下に動かして頷いた。

「え?」
 俺はトイレを出ると、公園の様子を見て足を止めた。
 公園は遊具も木もなくて、トイレの他にはベンチが隅に一つ置かれているだけだった。
 不自然なくらいものが少ない。……こんな公園があるのか。
 父さんのことがあってさっきまで焦っていたからか、俺は今更のように公園の異様さに困惑した。
「……ここ、寂しい公園だよな」
 阿古羅が俺の隣に来ていう。
「うん。なんで遊具が一つもないんだ?」
「自殺防止のため。何年か前に、ここで人が死んだんだ。桜の木に縄をくくりつけて首をつってな。それからすぐに木は切り落とされて、遊具も撤去されたらしい。子供が真似して木や遊具に縄をくくりつけて首をつったら、洒落にならないから」
「よく知ってるな」
「死んだ奴が親父の知り合いだから。まぁ知り合いって言っても、別に友達でも何でもなくて、仕事関係で少しだけ話したことがある程度みたいだけどな」
「そっか……」


「海里、飯食おうぜ。早く食わないと、昼休み終わっちまう」          
 阿古羅が公園のベンチを顎で示す。
「うっ、うん」
 俺は阿古羅と一緒にベンチに向かった。

「っ」
 ベンチで阿古羅と一緒にご飯を食べていたら、涙腺が緩んで涙が出てきた。
「海里? どうした? グラタン不味かったか?」
「違う。美味しい」
 涙を流しながら、俺は首を振った。

「じゃあなんで」

「俺、虐待のせいでいつも昼飯抜かれてて」
「それならこれからは俺が海里の分の昼飯も買ってやるから、学校の日は毎日一緒にお昼食べようぜ」
 阿古羅が笑って言う。

「え、いいの?」

「ああ。俺がしたくてやるだけだから、海里はなんも気にしなくていい」
「で、でも」
「でもじゃねえの。お昼食べないなんて俺が許さないから」
「……う、うん」
 俺は戸惑いながら頷いた。
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