七夕の夜、二人で見上げた星空

 人の混雑を避け、ちょっと離れた神社で夜空を見上げてる。


「この時間帯は、出店や神社に人が少ないんだ」


「打ち上げ会場の近くに人が集まるんですね」


「この場所は周りに家や大きな建物がないし、打ち上げ会場から近くて見やすい穴場なんだぜ」


「ちょっとテンション上がりますね」


「だろ!」


 ――その時、一発目の花火が打ち上がった。


「すごく大きいね!手が届きそう!」


「音もスゲェーよな、迫力満点だぜ!」


 たくさんの花火が打ち上がってる間も、私たちは話をしてる。

 よく聞こえないので耳に顔を近づけてるうちに、お互いの距離は接近していた。


 七夕祭りの雰囲気がそうさせてるのか、私は瀬戸くんの体に腕を密着させている。

 腕を回したり、手をつなぐことはできないけど、私なりに精一杯やって満足だよ。

 そうしてるうちに、花火の打ち上げが突然とまった。


「どうしたのでしょう、終わりかな?」


「いや、まだまだ!最後に盛大な連続打ち上げ花火の準備をしてるらしいぜ!」


 かすかに聞こえるアナウンスの声で「準備のため少々お待ちください」と話してる。



 ――その時、暗闇から誰かが姿を見せた。



「さがしたわ、こんなところにいたのね……」




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