私の婚約者には好きな人がいる
中に入ると、まだ行列にはなっていなくて、すぐに撮れるみたいだった。

「うわあ。かわいいですね」

虎の赤ちゃんは大人しくて、暖かくて肉球がぷよぷよしていた。
二人並んで座り、虎の赤ちゃんを抱きしめて撮影してもらい、一枚ずつ写真をもらった。

「いい記念になったな」

「はい!」

惟月さんも虎の赤ちゃんがかわいかったらしく、写真を嬉しそうに眺めていた。

「惟月さん。お土産を見てもいいですか?」

「ああ」

お土産売場に動物のカップやぬいぐるみやお菓子が売っていた。
赤ちゃん虎のぬいぐるみを見ていると、その虎を一つ手にして、レジに行き、お金を払うと私の手に持たせた。

「今日の記念にどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

嬉しすぎて、声がうわずってしまった。

「大事にします」

「大袈裟な」

そう言って惟月さんは笑ったけれど、私にすれば、初めて惟月さんからの贈り物で、ぎゅっ、と大事に抱き抱えた。


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