おもいでにかわるまで
聖也は話を続けた。

「お前ら知り合いなの?」

「僕達は友達の友達です。」

「そうなんです。私のクラスに綺麗な男の子がいて、羽柴君はその友達です。」

「あー、めっちゃわかる。あいつやばいよね。」

再びきゃっきゃと自分の知らない話で盛り上がる二人に対して、聖也は年上らしく少し気持ちを切り替えた。

「な、お前羽柴ってんだろ?俺は4年の正木聖也。お前ハンド興味あんの?」

「僕、中学の時ハンド部だったんです。それで・・・。」

「まじ!?経験者かよ。それを早く言えっての。その身長だったら、ポジションはポストか?」

「はい。やっぱりどこでもそうですよね?」

「これから身長伸びたらまた変わるかもだぜ?」

「ですかね。」

「ところで水樹さ、今日も来てくれたって事は、そういう事でいいの?」

「はいっ。昨日宇野さんと約束したんですっ。」

今までで一番かわいい笑顔で水樹はそう言ったのだが、それが何を意味しているのかは聖也には見抜けず、ただ、出会ったばかりの瞬介がその意味ありげな笑顔にキュンとした。

そして間もなく他の部員も集まりだすと、すっと一人、聖也や瞬介達に近寄る男が現れた。瞬介は直感でその雰囲気のある男が水樹の話していた宇野という人だと勘付き、それから勇利は瞬介を通り過ぎて水樹に話した。

「水樹ちゃん、来てくれると思ってたよ。」

「あ・・・。あのっ、今日からよろしくお願いしますっ。」

「うん。今日も鈴宮さんきっと来ないからさ、俺と一緒にお茶作る?」

「いえっ、大丈夫です。宇野さんは練習頑張って下さい。今日は私一人でやってみたいんです。」

「俺の事まで心配してくれてるの?サンキュ!」

勇利は次に瞬介にも笑顔を見せる。

「君も大歓迎だよ。俺は2年の宇野勇利。仲良くやろうぜ。」

「そうそう、俺らはファミリーだからよ!」

その言葉に瞬介は気合を入れ、そして水樹は皆と一度別れて昨日勇利に教わった通りの順序でお茶を作る為にコートから離れた。

でも、作ってみてから気が付き疑問に思う。どう考えても2つ分のお茶のポットが重かったのだ。

気合と根性で運べばよいのだろうか・・・。と、少し固まってポットを見詰める水樹に今度は女が近寄った。
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