仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~
「驚かせちゃったお詫びに、朝ごはん豪勢にしたから食べてよ。希帆、朝からがっつり食べられる派でしょ」

付き合いが長いだけあって、よく知ってる。私は朝から焼肉とごはん山盛りがイケる人間だ。
ベッドの中でうだうだしていた時間も含め、お腹はとても空いているし、ドアを開けた瞬間からいい匂いも……。

「ほら、おいで」

風雅が私の手を引っ張り、リビングダイニングに連れて行く。ゆうべのことがあっても、十年来の付き合いの風雅。手を引っ張られるくらい、嫌な気分にはならない。むしろ、こうしているとゆうべの風雅の方が現実味がない。
あんな男っぽい風雅、初めて見た……。
いやいやいや、無駄に思い出すのはやめよう。金輪際、あんな近づき方は許さないんだから。

「え、すご」

ダイニングにやってきて、テーブルに並ぶ朝食に思わず感嘆の声が漏れた。
パンケーキはお店で売っているようなやわふわな焼き加減。生クリームとフルーツが添えられている。カリカリのベーコンののったロメインレタスのサラダ、スクランブルエッグも絶妙な仕上がりだ。ヨーグルトにのっているのはアサイーだろうか。

「コーヒーでよかった?」
「あ、うん」
「パンケーキ、足りなかったら言って。すぐ追加で焼くから」
「足りると思うけど……」

お店で出てくるような朝食を用意され、私はぎこちなく着席する。目の前にことんとマグカップが置かれた。
< 27 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop