溺愛甘雨～魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす～
「だから、芽衣子ちゃんは焦る必要なんてないのよ。あなたがいてくれるだけで、あいつは十分幸せなの。あいつのこと、どうかよろしくね」

亮子さんの目には心からの親愛が籠っているように感じた。
それは、恩があるという専務だけでなく、私自身にも温かく注がれているのが、その優しくて奇麗な笑顔から伝わってきた。

鼻がつんとして私は俯いてしまう。
そんな私を見守るように、亮子さんはそっと小さな声で言った。

「芽衣子ちゃん、あなたも雅己のことが好きなんでしょ？」

どう返事すればいいか分らなくて、私は赤らめた顔をさらに俯かせる。

「雅己は無理強いすることをすごく恐れているのよ。だって芽衣子ちゃんってまるで、織りたての高価な絹織物みたいに清純なんだもの。自分の欲に任せて乱暴に扱ってしまったら、傷つけてしまうんじゃないかって気が気じゃないのよ。だから、応援しているからね」

亮子さんの優しい言葉は、私の胸に深く残った。

専務は私を支えたいと言ってくれた。
そんな専務も私の支えを必要としている…。

なら誰よりもそばにいてあげたい。
癒してあげたい。

この抑えられない気持ちが、人を好きになるという感情なんだ。

だったらもう、認めるしかない。

私は、専務のことが好き。




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