溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~

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「さぁて専務。溜まりに溜まった決裁書類に目を通していただきましょうか」
「あと報告書にも目を通していただきましょうかぁ~。ご意見もお忘れなく~」

高田さんと亮子さんに詰め寄られ、「はいはい…」と雅己さんは従順に書類とタブレットに対峙した。

「素早く目を通してくださいね。本日は予定が過密していますので」
「ええそう、どこかの専務サマがドタキャンしたおかげで、スケジュール調整が大変だったのよねぇ」

スケジュール調整と聞いて、ぎくっと今度は私が肩をすくめる。

「すみません亮子さん…。私の仕事まで代わりにしてくださって…」

けれども亮子さんは私には聖母のように寛容だ。

「芽衣子ちゃんは仕方ないわぁ。雅己に強制的に休まされたのは目に見えてたもの」

ご推察の通りだけど…申し訳ない。

朝食をとったあと、昨日は一日雅己さんと部屋でのんびり過ごしてしまった。
一日休んだせいで狂ってしまったスケジュールのことは気になったけれど、「休みの間は俺のことだけ考えること」という雅己さんの方針で、システムを開くことすら許してもらえなかった。
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