溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~
「あーあ、ズルいわ。私なんかフランスに待たせているダーリンとは、まとまった休みの間しか会えないっていうのに。はぁ、社内回線を利用してダーリンに電話しちゃおうかしら」
「仕事中に私情持ち込みは厳禁だぞ」
「ふん、私情のかけらも皆無の高田に言われたくないわ」

と高田さんと亮子さんの舌戦は今日も健在だ。

「失礼します。送り物をお届けに上がりました」

そこへ、年配の女性が両手で箱を抱えてやってきた。

代表取締役付きの秘書の方だ。
高田さんが恐縮して受け取る。

「わざわざありがとうございます。配達物なら午後にまとめて総務に取りに行きましたのに」
「いえ、これは代表取締役からの直接の贈り物です。お届け先は岸芽衣子さんへということで」

私…?

高田さんと亮子さんは顔を見合わせた。
雅己さんから私の素性を聞いた二人は、それでも私と雅己さんの関係を応援する、と受け入れてくれた。
けれども雅己さんのお母様の反応については、さすがの二人も不安に思っているみたいで…。
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