クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
が、突如はたと思い出したように、

「そういえば、今ちょうど社長がいらしていますよ」
「母さんが?」
「ええ。今日は新作発表がありましたので」

これよりさらに上の階は事務所になっていて、主に呉服販売事業の拠点となっている。

そうか、そこに母さんが来ていたとは。
ちょうどいい機会だ。

「ごめん、芽衣子。ちょっと母に会いに行ってきてもいいかな」

彼女ならあとの小物等も問題なく選び抜くだろう。逆に俺はいたところで余計な遠慮をさせてもいけない。

「お母様に? それなら私も行きたいわ。昨日お電話はしたけれど、やっぱりお礼を直接申し上げたいし…」

芽衣子の気持ちはもっともだが、俺は首を横に振った。

「ごめん、ちょっと母と二人で話したいことがあるんだ。お礼は母との女子会の時に言えばいい」
「でも…」

と食い下がろうとした彼女だったが、何かを察してくれたのか代わりに礼を伝えることを頼んで俺を行かせてくれた。






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