クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「俺は近々、君の父上とお会いしようと考えている」

芽衣子は俺を凝視し、真剣な目で訴えた。

「いえ、私が父と」
「いや、まずは俺だけで会わせてもらえないか」

俺は真っ直ぐにその黒い瞳を見据えた。

「婚約者が決まっていた君を勝手に奪ったのは俺だ。俺には、父上にきちんと釈明し改めて交際の許可をいただかなければならない義務がある」
「…」
「君は俺の強引な求愛に陥落しただけだろ」

と、冗談めかして言うが、芽衣子の真剣な表情は変わらない。

「でも…私も決めたの。北村に言う時に決めたの。どんなことがこの先あっても、あなたを選ぼうって」
「…芽衣子」
「あなたが困難に見舞われることを解かっていても私を選んでくれたように、私も雅己さんを選ぼうって決めたの。だから、父と向き合わせて」
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