溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~
その凛とした貴石のような瞳に、俺は囚われる。

いつだってそうだった。
彼女の瞳は、俺を驚かし、魅惑する。

隙だらけの深窓の令嬢に見せかけておいて、その実、彼女は罪深い女性だ。
いつも恥ずかしげに伏せる瞳に、こんな美しい魅力をひた隠しているのだから。

知らずに翻弄している気でいたら、不意打ちにこの瞳に中てられて魅惑されている。
何があってもけして離さないと、囚われてしまう。

「分かったよ。じゃあ、一緒に会おう」

観念したように頷くと、芽衣子はその瞳を穏やかに輝かせて笑った。

「ありがとう…。私、しっかりと向き合うね。父にも、お母様にも」
「ああ…」

大切にしまい込むように、俺は芽衣子を抱き寄せた。

この先、何年、何十年後、どんな困難があろうとも、彼女がいれば乗り越えられる。

そう思うような優しい感触、温もりだった。

そして固く決意する。
彼女をこうしてしかと抱き留め続けるためにも、俺にはどうしても果たさねばならないことがあるのだと。





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