溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~

【芽衣子side】


翌日、私は店に到着するなり辞表願を出した。

「急で申し訳ありません…」
「あら…突然ね。何かあったの?」

店長は驚き、怪訝な表情で訊いてきた。

「はい…実は実家の都合で急に帰ることになりまして…。短い間でしたけれど、お世話になりました」
「そう…。残念だわ…これからも、ずっと家で働いて欲しかったのに」
「…」

そんなことを言われるとは思ってもみなかった。
今までの職場では、ひどい時はほっとしたようにあっさり了承されていたのに…。

「ありがとうございます…お世辞でも嬉しいです」
「お世辞なんかじゃなわいわよ…! 芽衣子さんは礼儀作法が完璧で、教養もあってしかも容姿端麗。まさにうちにぴったりの逸材なのよ」
「…ありがとうございます」
「実を言うと、あなたを正社員にしてもらうように本社に申し出ようと思っていたのよ。 あなたのおかげでうちの売上が回復したんだから。あなたはうちに必要な人なのよ」
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