クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

「…だから、あんなことを言ったんだね。『自分を汚したい』、『自分を変えたい』って」

彼はひどく悲しげな顔をした。
まるで自分が苦しんでいるかのような思いやりがこもった表情だった。
そんな彼の優しさが余計につらくて、私は突き放すように言葉を紡ぐ。

「私が間違っていたんです。あなたを利用したことは謝ります。だからもう、私のことは忘れてください」
「できない。君を忘れることなんてどう足掻いてもできやしないし、君に望まぬ道を歩ませるなんてことも俺には堪えられない。俺は君を救いたい」

つんと鼻が痛んだ。