Letter - 大切な人 -
添えるように頭を手で押さえた美利は謝ることもせずに一言言い放った。
「お友達さん、第一号」
「はぁ?」
自分のあごを擦るように撫でながら意味が分からないと言った風に美利を小ばかにする表情を見せたのは一人の男子生徒だった。
「お友達さん、第一号」
美利はもう一度言ってみた。
「おっしゃ、お友達さん第一号に選ばれたぜ」
その言葉を聞いて美利は鼻で笑いそうになった。
しかし、お友達さん第一号などと言った自分もそもそも人を笑えるような状態ではない。
必死でこらえた。
とりあえず彼のことを眺めてみる。
美利本人の身長が低いせいもあるが、なかなかの長身に、しなやかな体つき。
骨と皮だけのような身体かもと思えたが少なからずの筋肉は付いているようだ。
顔も悪くない。どちらかというと中性的な顔立ちをしていると言える。