追憶ソルシエール
スキンケアを一通り終え、髪も8割ほどドライヤーで乾かしたあと自室に戻る。
ベッドの上に置いていたスマホを手に取ると、那乃からの通知が画面に表示されていた。約10分ほど前だ。
そのメッセージに返信をすれば、すぐにプルルルル……と無機質なコール音が鳴り響く。
「もしもしー?」
ベッドに寝転がり、ふぁーっと一日の疲れを重力に委ねれば覇気のない声が出る。
仮にも今はテスト期間だ。それなのにずっとスマホを握りしめているのかと思うほど那乃の反応が早い。
「どうしたの? また弟と喧嘩した?」
スピーカーモードに設定し、耳元にスマホを置く。
『喧嘩は毎日してるけど、そのことじゃなくて!』
「……あー、わたしは大丈夫だから那乃は自分のテストの心配しなー」
なんのこと?そう聞かなくてもわかる。那乃が過剰に私のことを気にかけるのは西野くんが関わったときだけだ。
テスト初日はもう明後日に迫っている。テスト日程最終日のトリを飾るのが古典。那乃のクリスマスの有無はここに懸かっている。わたしの心配なんて後回しでいい。
『そうは言ってもさー、普通空気読んで帰るよね!? なんであの場に平然とした顔でいるのか不思議なんだけど』
通話開始してからものの数秒。怒り爆発だ。
あの数時間で溜まりに溜まった不満をぶちまけている。
『あの前髪短くてうるさい人もそうだよ。すごい苦手!』
「あー……谷川くん」