追憶ソルシエール
年々、時間の進みが早く感じる。歳をとったと感じたなんて大人に言わせてみればまだまだだろうけど。
それでも微かな記憶の小学生時代はもっと1日が長かったような気がするのに。
「あ、噂をすれば日向だ」
机に置いてあるスマホの画面が光る。スマホを手に取った凌介くんがスマホを見てクスリと笑う。
「見て」
腕を伸ばして谷川くんとのメッセージを見せてくれる。
"ギリセーフ!"
とともに送られている写真。
「ほんとだ。無事全部赤点回避したみたいだね」
そこには万遍の笑みを浮かべた谷川くんの他に、乗り気でない2人の影もある。
一緒に勉強会に参加した由唯くんと、そして西野くん。
こんな不意打ちで見ることになるとは。
写真とはいえ、電車の時間を変えるまで避けたかった顔なのに。
モヤモヤとした感情が浮かび上がる。
「世莉ちゃん? なんかあった?」
「……えっ?」
きょとん、と首を軽く傾げた凌介くんの心配そうな表情にハッとして。
どれくらいの時間を要していたのか。そんなに長い感覚はなかったのに、凌介くんの表情を見るに考えに耽っていたようだ。
「ごめんね、ボーッとしてたみたい」
口角を上げれば、つられたように凌介くんの口角も上がり、さっきまでの心配そうな影が晴れた。