追憶ソルシエール
気まずさを誤魔化すべく、ごくりとココアを飲んだ。
「こんな時間までなにしてたの? バイト?」
「……反省文書いてた」
反省文?と復唱する西野くんに、苦笑いでうん、と頷く。
「ほら、ネクタイ忘れて」
カッターシャツの襟を掴んで見せる。
「岩田が? 珍しいじゃん」
「いつも忘れないんだよ? たまたま忘れた今日に限って身だしなみチェックがあったの」
「あ〜それで」
納得したような声色みせる返事に、そう、と相槌を打った。
「西野くんのせいでもあるけどね」
「なんて?」
「え?」
「俺のせい?」
「え、ちが、そういうのじゃ」
「さっき言ったじゃん」
心の中で言ったつもりが無意識に漏れていた。しかもよりによって聞こえていただなんて。車一台でも通り過ぎてくれれば聞こえなかったはずなのに。
助けに来てくれた相手に対して零すような言葉じゃない。
「岩田」
続きを促され、仕方なく口を開く。
「西野くんの言葉が頭から離れなくて、ずっと考えてたの」
ふう、と息をついて続きを話す。