追憶ソルシエール
「わたしが西野くんと仕方なく付き合ったと思ってたんでしょ?」
「……あー」
「どうしてそんなこと思ったかは分かんないし、この前も言ったけど、わたし西野くんのことすごく好きだったよ」
暗いけど顔はちゃんと見えるから。
目を見てはっきりと伝えた。
「誕生日にこっそり学校で食べたケーキとか街でショートケーキ見かけると思い出すし、西野くんがオススメしてくれた曲とか耳に入ると懐かしい気持ちになるし」
自然と口角が上がってしまうような、淡い青春。
「もちろん、全部がいい思い出ってわけでもなかったけど」
静かに耳を傾けてくれる西野くんの後ろに広がる星も視界の一部に入れながら、言葉を紡ぎ直す。
「あのとき好きだった気持ちを否定されたような気がして、それがすごい気がかりだったの」
他の人からしたらどうってことないかもしれない。でも、なぜかずっと心に引っかかって頭の中をぐるぐるして。
最近よく考えていたから、当てつけかもしれないけれど西野くんのせいだと思ってもいいと思う。
「そうだったんだ」
ずっと黙って聞いてくれていた西野くんが、静かに口を開いた。
「この前はあんな言い方してごめん」
「大丈夫だよ」