スイーツは甘くなくちゃダメでしょ?
「でも、彼はモテるから早く告白しないと取られちゃうぞ〜」

明日香さんはそう言って厨房の方へ行ってしまう。舞は明日香の言葉に周のいる席を見た。すると、可愛い女の子に声をかけられている。

「また声かけられてる……」

舞の胸が痛みを覚えた。周はこうして女の子から声をかけられることが多い。男の子から女の子と勘違いされて話しかけられることもある。それだけ顔が華やかなのだ。

「もしこの気持ちが恋だとしても、叶う確率はゼロに近いよね……」

女の子の話に相槌を打っている周の横顔を見つめながら、舞はため息をつきそうになるのをグッと堪えた。



それから数週間、舞はいつものように学校でパティシエになるために勉強をし、スイーツ店でアルバイトをするといういつもと変わりない日々を過ごしていた。

「舞ちゃん、昨日も一昨日もバイトじゃなかった?ちゃんと休まないとダメだよ?」

今日も笑顔で接客をしていると、スイーツ店にやって来た周に声をかけられる。心配してくれることに喜びつつ、舞は「大丈夫です!」と笑った。
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