スイーツは甘くなくちゃダメでしょ？

「私、スイーツが大好きなので、スイーツを見てるだけで疲れが吹き飛んじゃうんです！まだまだ頑張れますよ！」

舞は笑い、周の注文を聞く。昨日と一昨日は店頭に並べられたケーキを買って帰っていたが、今日はスイーツビュッフェコースを選んでくれた。少しでも同じ空間にいられることに舞は嬉しくなってしまう。

「無理だけはしないでね、舞ちゃん。頑張ってる舞ちゃんのこと好きだけど、頑張りすぎはよくないから」

周を席に案内すると、小声でそう囁かれる。舞が赤い顔を周に向けると、周はいたずらっ子のように微笑んでいた。そのまま頭を撫でられそうになり、慌てて舞は「ごゆっくりどうぞ！」と言って周から離れる。

「桃山さん、どうしたんだろ……」

あんなことを言われたことも、触れられたことさえなかったのに、何故か今日はアプローチをされているように感じてしまう。いや、からかわれているだけに違いないと舞が一人で考えていると、ドアのベルが鳴り響いた。お客さんが来た合図だ。

「いらっしゃい……ませ……」