毒林檎令嬢と忠実なる従僕〜悪役はお断りなので冷徹な狼従者を甘やかしたら、独占欲強めに執着溺愛されました〜
 そして、机の上に報告資料として置かれていた城下街の広告に目を止めた。

『ご婦人方の間では精油(アロマオイル )が流行っているそうだよ』
『そうなのですか!? それなら丁度、先日母上の伝手で頂いたものがあります。試してから、検討してみます!』
『レグルスの母上の伝手か。……うん、喜んでもらえるといいね』

 ユーフェドラは優雅に頷く。

 先の事件の折に、護衛騎士を圧倒するレベルで水魔法を操ってみせたというディートグリム公爵家の令嬢・ティアベルの勇姿は、報告にも上がっていた。

 その姿勢はティアベルが十数年後、王国や民を心より愛し大切に育める良き第二王子妃となる片鱗のように感じ、好ましく思っていたのだが……本人にはその気がないらしい。非常に残念だ。


「これで第二王子派……――クレアローズ第二王妃殿下派を、大人しくさせられると思っていたんだけどな」
「愛娘のパーティー会場を貸してやっただろう」
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