【カルマ〜青春白書】1章完結
【女の質】
山田→「なんだ〜そういうこと〜(苦笑)」
なぜかどっと疲れを全面に言葉に出した。
和也→「先生?なんか勘違いしました〜?クス」
からかうように、山田の心中を覗いた。
山田→「新城君、大人をからかわないで〜、もうまいっちゃう〜」
と、まるで子供みたいな山田が、大人びた和也に
精一杯突っ張ってみせた。
やがて練習も終わり、集合がかかると、いつものようにテキパキとした整列がなされた。
空が茜色になるこの時間、少年達の夕日に光る汗に、山田は過ぎ去った青春の日々を懐かしく重ねていた。
庄司→「え〜それでは、明日の試合のミーティングを今行い、最期に呼ばれたメンバーは明日朝6時半に、二年二組に集合してくれ。戦術会議を行うから。公式戦ではないが、呼ばれなかったメンバーは、明日授業おわりに放送室にすぐに集合、役割分担を伝える。みな、帰宅出来ないので弁当持参するように。もし、用意できないメンバーは、西田さんにこのあとすぐ自宅にお願いしにいくこと」
まるで顧問のような計算された口調で、立派に場を引き締めた。しかし、山田は最期の部分に、はたまたはてな顔になっていたのだ。と、横にいた和也が小声で、
和也→「事情で弁当持ってこれないメンバーのためにゆりが作るんですよ!」
と、事情のある生徒に聞こえないように、気遣ってつたえた。またまた、西田ゆりという、生徒……いや女の質に負けたような悲しい気持ちになった(笑)
< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop