粗大ごみを拾ってしまった(番外編その1) 大森カラスの憂鬱
<冥府の王宮・大森の執務室・19時20分>

大森は息を吐いて、ネクタイを緩めた。
そして
椅子の背もたれに寄りかかるようにして、足を組んだ。

<あの人の女>
ミイヤも、神界となんらかの接点があるのだろう。

名字も「上条」だが「神上」、<神が上がる>ともとれる。

控えめで、真面目で優しいが、底知れぬ死への力動を、抱えている
<人の女>

神と冥府の混在が、あの者にもあるのだろう。

瞑王が惹かれるのも・・無理はない。
いや引き寄せられたのは瞑王の方か・・・

大森は腕組みをした。
まず、天界の転生係と調整をしなくてはならない。

ミイヤの子どもとして、生まれるために・・・・
あの(わる)ガキをリストに、最優先で載せ(のせ)て・・

その時、
大森の背後から声がした。

「俺はさぁ・・女の子がいいんだよね」

窓のカーテンにくるまりながら、
顔だけだして瞑王が言った。

「・・くっ・・瞑王様、
驚かせないでください!!」
大森は危うく椅子から転がりそうになった体を、何とか立て直した。


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