which?
スッと背後からする声と、私にかかる影。
私の体がビクッと反応した。
この声は………
「ひ、弘樹っ!おはよー…今日もいい天気だね♪」
頑張りすぎて、上擦ってしまった声。
弘樹の少し驚いた表情。
……どこが女優だよ…
絶対、私より小学生の方が演技上手いって…
今にも大量の冷や汗が流れ出しそうな私。
穴があったら埋まりたいって、まさにこのことか。
「あの、結莉…」
「舞ー!1限目は体育ですよー早速、着替えませんか?」
弘樹に声をかけられそうになって焦った私は…
思わず舞を巻き込んでしまった。
「…いいけど…」
「結莉…だから…」
頷く舞と、私の名前を呼ぶ弘樹。
弘樹から私に向けられる真っ直ぐな視線。
私はそれを逸らして、目を見ようとしなかった。
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