転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 いつものように魔術研究所まで辿り着いたマニエルは、そこで異常に気付いた。なんと、目の前で愛しの婚約者──ルーエンが罵倒されているではないか!
 マニエルはこっそり回り込んで罵倒しているにっくき宿敵をみた。金の髪を高く結い、豪華な衣装を着た絶世の美女──プリリア王女殿下だ。

「私が育てたのに例の少女のような効果が現れないなんて、おかしいわ! あなたの攻撃の仕方が悪かったのよ!!」
「そうは言われましても、いつも通りです」
「ならば、例の少女の時にわざと軽い攻撃魔法を使って誤魔化しているのね?」
「天に誓って、そのようなことはしておりません」

 目尻を吊り上げるプリリア王女の前にはしなしなに萎れた花や、焦げてもはや原型を留めていない何かが積み重なっている。プリリア王女はそれを指さしながら、困り顔のルーエンに詰め寄っていた。マニエルがその焦げた物体をそっと前足で触れると、ハラハラと灰が崩れ落ちた。

「あなたは魔術研究所でも一、二を争う優秀な筆頭魔術師と聞いたわ。この花に聖魔法の力を授けて」
「そうして差し上げたいところですが、僕には出来ないのです」
「なんですって? 筆頭魔術師と聞いて呆れるわ」
< 314 / 386 >

この作品をシェア

pagetop