転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 スーリアはその手紙の束を何回も読み返した。
 スーリアを繋ぎ止めておくようにと命じられたことは事実だが、スーリアを愛してる気持ちに偽りはないと書かれているものもあった。『繋ぎ止めておくようにと命じられたことは事実』だなんて書かなければよいものを、馬鹿正直に書いてしまうとは何とも不器用な人だと思った。スーリアに会いに行ったら父親のベンに追い返されたとも書かれていた。

 そうだ。スーリアの知るアルフォークはいつだって、こういう不器用さを持つ誠実な人だった。

『ねえ、恵ちゃん。あなたの恋人はどんな人?』
 
 最後にシュウユに会ったとき、シュウユはスーリアにそう問いかけた。

『かっこよくて、優しくて、誰よりも誠実な人だわ。とても素適な人なの』
『恵ちゃん。今思っていることを忘れないでね』

 なぜシュウユはあんなことを自分に尋ね、あんなことを言ったのか?
 どうして彼は、いまでもこんなふうに自分に手紙をくれるのか? 
 
 スーリアはあの公開訓練の日、アルフォークに裏切られたと思い逆上し、取り乱した。アルフォークはしきりに『違うんだ』と言った。スーリアはそれに取り合わなかったけれど、もしかすると本当に誤解なのではないかと思えてきた。
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