転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
  
 国王陛下の言うとおり、爵位と魔法騎士団長の地位はまさにアルフォークの持てる全てだ。それ以上を求められた場合、アルフォークには実家に頼るか、最悪は自分の命を差し出すしかない。

「だが、お主の処分の決定権はこちらにある」

 アルフォークはぐっと押し黙った。国王陛下の言葉は、すなわち爵位と魔法騎士団長の地位の返上には納得いかないという意味だ。死刑の可能性が頭を過ぎった。

「まずは、これより用意するスープを全て食べよ」
「は? スープ?」

 アルフォークは眉根を寄せた。聞き間違えかと思ったが、すぐに用意されたコップに入れられたものは温いスープだ。なぜか親友のルーエンが運んできた。アルフォークは、これは服毒による死刑で、死に目くらいは友人に会わせてやろうという恩赦なのだと理解した。

「アル。自分で食べられる?」
「食べられる。手間をかけさせた」

 アルフォークが礼を言うと、ルーエンは小さく笑った。
< 354 / 386 >

この作品をシェア

pagetop