転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 自分の行く末は何なのか。
 王宮の警備隊員か、もしくは実家から経営している会社を一つ譲り受けるか……。アルフォークはそんなことを思案しながら、国王陛下との謁見に向かうのために準備を始めた。
 

***


「面をあげよ」

 国王陛下の威厳のある声がして、アルフォークは顔を上げた。玉座に座る国王陛下は頬杖をつき、アルフォークを見下ろしている。その横には王太子やエクリード殿下もいた。

「この(たび)の王宮内での空間の歪みと魔獣の出現について、余に申したいことはあるか?」
「このような不手際を起こしたことを、深くお詫び申し上げます。全ての責任は私にあります」
「お主が責任を取ると?」
「はい。先日賜った爵位と魔法騎士団長の地位の返上を致します」

 アルフォークは固い口調でそう言った。プリリア王女が「何ですって!」と叫んだのを、隣に居た王太子が嗜める。国王陛下は驚く様子も無く、顎髭を撫でた。
 
「爵位と魔法騎士団長の地位の返上か。お主の持てる全てだな」
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