季節は巡り、それでも貴方を想う
わたしが、陽梨と仲良くなったきっかけは、今から三年前。中学入学初日のことだった。
その日、わたしは、ガチガチに緊張していた。友達はできるだろうか、新しい環境で上手くやって行けるだろうか。
人見知りで話し下手なのも相まって、考えれば考えるほど、不安で仕方なくなった。
第一印象が大切。笑顔、笑顔。
そう自分に念じて、これから1年間を過ごす教室へと足を運んだ。けれど、初っ端から、私はつまづいて、派手に顔から転んでしまったのだ。
シン、と静まった後、教室内にはクスクス笑いが起こった。『うわ、ヒサーン』と憐れむ声も耳に入ってきた。
もう消えてしまいたい。顔を真っ赤にして半泣きになり、床にへばりついていた時だった。
『大丈夫!?』
そう、声が聞こえた。
重めの真っ黒なストレートヘアー。心配の感情がうかがえる、メガネの奥の小ぶりな目。
それが、陽梨だった。
『…あ、ありがとう……』
助け起こしてもらったあと、私はドギマギしながら、掠れた声でお礼を言った。消え入りそうな声だったのに、陽梨はわたしの声を聞き逃さず、優しく笑いかけてくれた。
今度は嬉しくて泣きそうになった。
ああ、この子と仲良くなれたら。そう強く思ったのを、今でも鮮明に覚えている。
それからというもの、わたしたちは、自然と行動を共にするようになった。
わたしは、引っ込み思案な性格で、自分の思いを口にするのがかなり苦手な方だ。
これを言ったら相手が気を悪くしないかとか、嫌われないかとか。何時もそんな思いが先行してしまう。
けれど何故か陽梨に対しては、自分の気持ちを飲み込まずに伝えることができた。多分、陽梨なら受け入れてくれるとわかっていたからだ。
陽梨はわたしの言葉を否定しないし、いつだって急かさずに待ってくれた。
陽梨と話すのは楽しかった。読書という共通の趣味があったことも大きいと思う。
お互いのおすすめを紹介し合い、同じ本について語り合った。
自分にこんなに仲のいい友達ができるなんて、信じられなかった。
中学3年間は陽梨との思い出ばかりだ。そして、この4月からも同じ高校に通えることになっている。縁が続くのは本当に嬉しい。
その日、わたしは、ガチガチに緊張していた。友達はできるだろうか、新しい環境で上手くやって行けるだろうか。
人見知りで話し下手なのも相まって、考えれば考えるほど、不安で仕方なくなった。
第一印象が大切。笑顔、笑顔。
そう自分に念じて、これから1年間を過ごす教室へと足を運んだ。けれど、初っ端から、私はつまづいて、派手に顔から転んでしまったのだ。
シン、と静まった後、教室内にはクスクス笑いが起こった。『うわ、ヒサーン』と憐れむ声も耳に入ってきた。
もう消えてしまいたい。顔を真っ赤にして半泣きになり、床にへばりついていた時だった。
『大丈夫!?』
そう、声が聞こえた。
重めの真っ黒なストレートヘアー。心配の感情がうかがえる、メガネの奥の小ぶりな目。
それが、陽梨だった。
『…あ、ありがとう……』
助け起こしてもらったあと、私はドギマギしながら、掠れた声でお礼を言った。消え入りそうな声だったのに、陽梨はわたしの声を聞き逃さず、優しく笑いかけてくれた。
今度は嬉しくて泣きそうになった。
ああ、この子と仲良くなれたら。そう強く思ったのを、今でも鮮明に覚えている。
それからというもの、わたしたちは、自然と行動を共にするようになった。
わたしは、引っ込み思案な性格で、自分の思いを口にするのがかなり苦手な方だ。
これを言ったら相手が気を悪くしないかとか、嫌われないかとか。何時もそんな思いが先行してしまう。
けれど何故か陽梨に対しては、自分の気持ちを飲み込まずに伝えることができた。多分、陽梨なら受け入れてくれるとわかっていたからだ。
陽梨はわたしの言葉を否定しないし、いつだって急かさずに待ってくれた。
陽梨と話すのは楽しかった。読書という共通の趣味があったことも大きいと思う。
お互いのおすすめを紹介し合い、同じ本について語り合った。
自分にこんなに仲のいい友達ができるなんて、信じられなかった。
中学3年間は陽梨との思い出ばかりだ。そして、この4月からも同じ高校に通えることになっている。縁が続くのは本当に嬉しい。