砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
——えええええぇーーーっ⁉︎
あたしは、白目を剥きそうなほど、びっくりした。
——えっ、だってだって……
「契約書」では「白い結婚」だったはずじゃ……
アブダビの「家」(と言っても、高級ホテルの最上階にあるペントハウス・アパートメントだけど)では、確かベッドルームはそれぞれの「私室」だったはずだ。
——なのに、どうして……
そんなあたしに構うことなく、ラジュリーはお姫様抱っこをしているあたしを、まるで宝物を置くみたいに 寝台の上にそっと下ろした。
「……My Lulu」
あたしの耳元で、彼がささやく。
脳髄にまで響きそうな、低く心地よい声だった。
「I’ve changed my mind. The contract we signed needs to be "slightly" revised.」
〈気が変わった。私たちが交わした契約書は「若干」修正する必要が出てきたな〉
——えっ、ちょっと待って……『slightly』って……?
あたしがとまどいを含んだ目で見上げると、彼はとろけるような笑顔になった。
以前、ジャミーラさんの前で見せたときは「偽りの笑顔」だったけど……
そのとき、艶やかな黒曜石の瞳が、ぎらり、と妖しい光を放った。
——なんだか……「捕食者」みたいな目になってるような気がするんだけれども……
隅に控えていたファティマさんとワファーさんが、とたんに甘い空気を含みはじめたこの場を察したのか、この部屋から出て行こうとする。