砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
——やっぱり、あたし、担当を外されるんじゃんっ!
あたしはムンクの「叫び」顔になった。
「صاحب السمو」
ムフィードさんが、あわててマーリク氏に駆け寄る。
「み、三浦さんっ!
は、早くミスター・マーリクにお詫びして!」
焦った林室長の声が、派手に裏返っている。
——だけど、その前に……
「I’ve never thought he’s able to speak English.」
〈英語を話せるなんて、思いもよらなかったわ〉
だって、マーリク氏は今までずっと、なに言ってんのかあたしにはさっぱりわからないアラビア語で、ムフィードさんと話していたから。
「…What was that?」
〈……なんだと?〉
決して声を荒げているわけではないのだが、半端ない威圧感だ。
マーリク氏がまるで射殺しそうな目であたしを睨んでいる。
——や、ヤバいっ!
心の声が漏れ出していたわ……
しかも、よりによって英語で……