青い夏の、わすれもの。
「深月華さん」


彼が私の名前を呟いた。

私は律儀に「はい」と返事をしてしまった。

鈍感じゃないから、分かる。

この雰囲気、

このシチュエーション...。

人生初の出来事が起こる予感がして冷や汗がたらーっと背中をなぞった。

私は真っ直ぐ彼の透き通った瞳に映る自分の姿を見つめた。


「これからはおれが深月さんの隣に並んで同じ道を歩いて行っても良いですか?」


私は口をつぐんだまま、目を反らした。

その先の言葉が怖くて見ていられなかった。

私が号砲を鳴らす前に、彼はフライングスタートをした。


「深月さんのことが好きです。おれと...付き合って下さい」

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