青い夏の、わすれもの。
と、ここでバスが止まった。

乗る人と降りる人がそれぞれ多くて話が途切れてしまった。

バスがガタンと大きく揺れ、走り出したのも束の間。

今度は赤信号で止まった。

隣の深月さんの手がピクリとなったのが合図だった。


「律くんは力量があると先ほど言ってましたけど、いつからトランペットを吹いているか分かりますか?」


深月さんは興味津々といった様子でわたしの口元を見ていた。

なんでこんなに凝視されているんだろう?

わたしは変な汗をかきながら話し出した。


「たしか、5歳からって言っていたと思います。お父様が中高の音楽教師らしいです」


新入生歓迎会の時に本人が言っていたことをそのまま喋ったけど、深月さんは朗らかな表情でわたしの話を聞いていた。
< 80 / 370 >

この作品をシェア

pagetop