秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「えっと、若海と言います」
一応自己紹介をする。同じタイミングで赤信号で車が止まる。
「スナガです。拓海のマネージャーをしています」
マネージャーのスナガさんは、信号が青に変わると同時にはぁと息を吐く。
そして、ねぇ、と先ほどよりも低い声を向ける。
「勝手にどこか行くのはやめてって言ってるでしょう。それから、休日のお台場に帽子と眼鏡だけで単独行動なんてばれたらどうするの」
「ばれたっていいよ。沙月がいたから仕方がないでしょ、そもそもオープニングの撮影だけだし」
どうやらマネージャーさんは拓海が勝手に現場から離れたことを怒っているようで、その理由に私がいたからって返す拓海もどうかしてる。
重い車内の空気に顔を顰める。
そっか、あの撮影現場に居合わせたところを遠目とはいえ彼は気づいていたのか。視力いいなと思いながら窓の外へ顔を向ける。
「あなたの家でいいのね?」
「うん、よろしく」
拓海の家に向かっているとしって胸がざわつく。
私も一緒ということだよね。拓海のマンションにはしばらく行っていなかった。ほとんど私の家に来ることの方が多いからだ。