秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
寝たふりなんかしたことはない。
でも俳優をやっている拓海のことを間近で見てきたという自負がある。私だって出来るのではと思った。そもそも目を閉じていればいい。

私がベッドに入って10分くらい経過してから拓海が寝室に入ってくる音が聞こえた。

体に緊張感が走る。

「沙月?寝たの?」

私は無言で寝たふりをする。何も返してこない拓海にヒヤヒヤしながら全身に神経を集中させる。
早く寝てくれないかな、と思っていると拓海もベッドの中に入ってきた。
キングサイズだし普段真ん中で二人で寝ているのだからこちらまで来ないだろうと思った。

…思ったのに。

「寝てるんだ、残念」

と声が聞こえてきたと同時に、拓海の体温と私が肩までかぶっているタオルケットに入ってきた気配がした。
普段寝相の悪い私のせいで、お互いのタオルケットを用意してあるのに…何故だろう。

急に心拍数が上昇する。
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