秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
あれ、思っていたのと全然違う。
そう思ったのも束の間、ピッタリと私の背中に拓海がくっついてきた。
…ひぃっと声が出るのを自分の手で押さえてなんとか出さずにすむ。


「寝たんだ…」
「…」
「今日の男って元カレだったじゃん…多分沙月の初めての相手ってアイツなんだよね」

まるで私に話しかけるように耳元で囁く彼に更にきつく目を閉じた。
寝たふり、寝たふり。

枕の端を握る。
拓海の吐息が耳にかかって思わず体を動かしてしまいそうになる。
ゾクゾクする。

拓海がこんなに独り言を言うことを初めて知った。
普段は、私のほうが先に寝落ちしてしまうし拓海の寝顔はあまり見ない。

「キスも、体も全部初めてはアイツなの?」
「…っ」

と。
拓海の手が伸びてきてパジャマの中にそれが入り込む。普段よりも冷たいその手が私の腹部を撫でる。



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