秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
だって向こうだって嫌だろう。一般人から急に気づかれても困ってしまうではと思ったのだ。拓海は普段街で気づかれても無視はしないにしろ、極端に自分の存在がばれるのを嫌うから対応が少し素っ気ない時が多い。


「正解。やっぱり帽子と眼鏡だけじゃダメか」
「…」

そう言って私の顔を覗き込む、にっこり笑った。やはり間近で見るとわかる、彼はあのマサトだ。

拓海以外の芸能人に出会ったことがない私は「お体に気を付けて」なんて意味不明なことを言って彼から離れようとする。
のに、彼は笑って私の腕を掴んだまま離してくれない。

「面白いな、お前。一般人?」
「はい、そうです」
「なんでこんなところに?出待ちならここじゃなくて裏の入り口だよ」
「…そう、でしたか」
「誰の出待ち?まぁ、普通は会えないけど。すぐにタクシーか送迎者がぴったり入り口に張り付いてるし。それに職員用にも警備員いるよ」
「…あの、これから仕事ですか?収録とか」
「そうだけど」
「なら、…初めてお会いした方にこんなことを頼むのも失礼ですが、拓海のこと知ってますか?」
「…あぁ、もしかして、」


そう言ってマサトさんは何かを思い出したように含み笑いをする。
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