秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「お前、あれかぁ。拓海の女か」
「っ…ち、ちがいます」
「俺、同じ事務所なんだけど。よく耳にするんだよ。拓海は一般人の女にお熱だって」
「…」
「なるほど。アンナとの週刊誌はカモフラージュってこと」

一人で納得した様子で頷く彼はなんと拓海と同じ事務所らしい。
事務所内でも拓海と私のことは皆が知っているようだ。
ということは彼が隠すつもりもなく、周りに言っているのだろう。
少し嬉しかった。

「いいよ、これ拓海に渡しておく。事務所も同じだし」
「そうですか!ありがとうございます」

頭を下げてお礼を言う。
マサトさんは帽子のつばの部分を掴み顔を隠すようにそれを更に深くかぶる。

「拓海に会いたくてきたの?」
「いえ、まさか。接近禁止なんです。だからちょっと遠目でもいいからみたいな~って」
「へぇ。じゃあ、俺はもう行くけどこれ、あげる」
「…え、」

そう言って、彼は手慣れたように肩掛けのバックからメモを取り出し、それにペンを走らせて何かを書くと私に手渡した。
それは彼の電話番号とメールアドレスだった。

瞬時にいらないです、と言って返すが

「拓海とも仲いいから何かあったら連絡できるよ」

という誘惑に負けて受け取ってしまった。

「名前は?」
「…若海沙月です」

それでは、そう言って今度こそ帰ろうとした。

でも。

「あ、拓海とアンナじゃん」

そう言った彼の視線を辿るように自分のそれを合わせるとちょうど二人が入り口から出てくるのが見えた。
久しぶりの拓海の姿を見ることが出来て嬉しい。
なのに隣で楽しそうに笑うアンナさんを見て胸の奥が痛む。

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