秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
私服なのか、アンナさんはデニムパンツにピタッと体のラインがわかる深いVネックのカーディガンを着ていた。
アンナさんは身長も高いし足も長いし、小顔だし、目鼻立ちもしっかりしている。誰が見たって”美人”だ。

拓海の自宅で彼女を至近距離で見たとき、絶対に敵わないと思ってしまった。
それは今も変わらない。

隣を歩く拓海も帽子を被っているとはいえ、オーラがある。
拓海もアンナさんの隣で笑っているのを見て、須永さんが以前見せてくれた試写会の動画のコメント欄を思い出した。

世の中の人は、みんなアンナさんだったら許せると思っているのだ。
私なんかが彼の隣を歩いてもきっと誰も認めてくれないと思う。

「…帰ろう」

俯いてぽつり、呟く。

彼らから遠ざかるように私が帰ろうとすると、マサトさんが言った。

「ヤキモチ?」
「ち、違います!そんなんじゃない…」

それにイラっとして私はつい強い口調で返してしまった。
マサトさんはニヤっと口角を上げて、わかりやすいといった

何もわからないくせに。
黒い感情が私の心の中を埋め尽くしていく。
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