秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
早くこの場から去りたくて、私は彼を無視して足を進めようとした。
けど…―。

「あ、」

チラッと、拓海たちの方へ視線を動かすと、拓海がこちらを見ていた。
しっかり足を止め、私たちを見ていた。
驚くような表情をしていて、私はとっさに視線を離して

「じゃあまたなー」

そう言ったマサトさんを無視して大股で歩く。

手を振ればよかったのだろうか。
にっこり笑って、手を振ったらよかったのだろうか。そうだよね、その方がいいに決まっている。
それなのに私は隣にいるアンナさんに嫉妬して素っ気ない態度を取ってしまった。

…こんな自分が嫌い。

いつから私はこんなにも性格が悪くなったのだろう。
せっかく彼の姿を見ることが出来たのに。後悔ばかり押し寄せて私は電車に揺られながら拓海のことばかり考えていた。

彼から連絡が来たのは23時過ぎだった。




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