秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「そんなことあるわけない。私は一般人だよ」
「何言ってんだよ」
「…拓海?」

明らかに怒気を孕む声で、でも怒りを抑えようとしているのが伝わってくる。その声に私は言葉を噤んだ。

「…アイツはそういうやつなんだよ。近寄らないで」
「…わかった」

私だって本当はアンナさんと一緒にいてほしくない。
でも仕事だからそんなことを言えるわけなどない。マネージャーの須永さんが言うように、芸能界で生きる彼と付き合うということはこのくらい我慢できないといけないのだ。

アンナさんのことは何も言わずに、私は電話を切った。

せっかくの電話はすぐに終わってしまうし、もやもやした感情は胸の奥で燻ったままだし、この日はすぐに寝てしまった。


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